2009年03月29日

おすすめします ノーマ・フィールド「小林多喜二 −21世紀にどう読むか」

シカゴ大学教授ノーマ・フィールドさんが「小林多喜二 −21世紀にどう読むか」を岩波新書から出版しました。

ノーマさんは、「ウェブマガジン カムイミンタラ」の取材に応じ、それは2005年9月号(第5号 通巻125号)特集「ノーマ・フィールドさん小林多喜二を語る 多喜二の『未完成性』が問いかけるもの」になりました。母親が日本人、その縁が北海道小樽市につながっている人でもあります。日本文学の古典の研究者としての歩みの中で、明治以降の近代日本文学へも関心を広げ、小樽にも滞在して小林多喜二にもその目が及ぶことになりました。プロレタリア文学者とされる小林多喜二を、w幅広い視野で斬新な提起も含まれたとらえかたをしており、また作家像を暖かくとらえているところは、カムイミンタラ特集でもうかがえるものとなっています。

今回の岩波新書、これまでのノーマさんの到達点あるいは集大成ともいうべき中身の濃い内容のものとなっています。

最初と最後にあたるプロローグとエピローグのなかで、3部構成の本文と違って、小林多喜二を「多喜二さん」「あなた」と呼びかけています。いくつかのノーマさんが体験したエピソードから、小林多喜二がどのように目にとまり、対象として大きくなっていったことがふれられています。そして、多喜二について言われてきたこと、それらへの自分の観点を、要領よく示しています。本文を理解し、手引きとするのにふさわしいスタートとしめくくりです。

3部構成の本体は、多喜二の生涯、作品の分析、それにとどまらず、戦前戦後の多喜二にかかわる論争についても筆は及んでいます。これまでも多喜二とプロレタリア文学に関しての論争、党派性、「政治の優位性」といったことへも踏み込んだものです。自身の意見もそういったことに対していねいに言及されています。

小林多喜二の改めての評価につながる近年の新しい大きな一石は、三浦綾子さんの小説「母」でした。ノーマさんは、違う形ですが、改めて新しい一石を投じたといっても過言ではないでしょう。それにしてもコンパクトな百科全書といっていい、広さを持った内容です。到達点論点なども俯瞰もでき個別なことにも行き着ける内容になっています。一里塚を打ち立てたといってよいかもしれません。これからは多喜二を知ろうわかろうという意欲のある人には、どうあっても通らなければならないものとして位置づけられるのではないでしょうか。どこの道からでもノーマさんのところからがいまのところ一番鳥瞰も俯瞰もできるものとして。

さらに高くも低くもなく、多喜二の目線からのとらえかたに意を注いでいます。なお豊かさを受け止めさせる裏打ちがされているのです。不毛な荒野が広がっている風景ではないのです。田口タキへの手紙から出会ったノーマさんの旅と歩み、この見事な一里塚をしめすところまできたのです。

以上 (UT) 090329





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2009年03月15日

カムイミンタラ2009年3月号公開しました

ウェブマガジン カムイミンタラ 2009年3月号(第26号 通巻146号)公開しました。今回取材などの都合で、3月11日からです。

特集は、「名古屋で結実した自衛隊派遣意見裁判 北海道訴訟(箕輪訴訟)が終結」です。2月28日開催された北海道訴訟原告団解散式もかねた集会の模様もふくめて、北海道訴訟を振り返る内容です。

随想は、鎌田康雄さん、冨田佳子さん、植田惇慈さんにご寄稿いただきました。じっくりお読みいただければ幸いです。

紙媒体の「カムイミンタラ」、ウェブマガジンとして同じように隔月発行を続けてきてからでも3年以上経過することとなりました。ウェブ世界の進化変化もその間めざましいものがあります。そのことを考えると今の形どうであろうかという気持ちも持つようになりました。

以上 (室長) 090315
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2009年02月19日

3月号公開予定のお知らせ

ウェブマガジン カムイミンタラ は隔月の発行です。大体はその月の1日公開を目安にしています。今回、2009年3月号ですが、特集取材の都合上、3月10日予定としております。

内容の濃いものをお届けするためのやむをえない措置です。ご理解をいただき、お待ち下るようお願いいたします。

以上 (室長) 090219
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2009年01月30日

オバマ大統領をどう見ていくか、私ならこうですが

1月20日、バラク・オバマ氏が第44代米国大統領に就任、活動を始めました。黒人が大統領に選挙で選ばれたことで、米国にも世界にも大きな1ページを印したオバマ氏。大統領としての実績ははたしてどんなものを残すことになるのでしょうか。経済危機の中、多難な船出は誰の目にも明らかなのですから。

イラク戦争、経済弱者への目配りという点では、前ブッシュ大統領ときわだった政策的ちがいの意見を持っていたオバマ氏ですから、かなりの転換となることを実行することにもなるでしょう。国民皆保険制度にふみこめるならこれも新しい1ページをつくることになるでしょう。

しかし世界平和へ、日本が背負っている不平等克服へ、などという課題ではどうでしょうか。日本も、日本人もどんどんものをいうことでなければ良く変わることはないかもしれません。その意味で「channge」は、我々にも投げかけられたものかもしれません。

期待半分、不安半分の私ですが、世の中は広いもので、いろいろな意見見方がさまざまあります。オバマ氏に関する本の出版があいつぐなか、
オバマ大統領には期待できないという中味らしい本がでました。題して「不幸を選択したアメリカ 『オバマ大統領』で世界はどうなる」(PHP研究所)です。著者は「ジャーナリスト」日高義樹氏。ワシントン情報から読み解く2009年以後の国際情勢について著者の見解を述べた内容とのふれこみです。

「オバマ大統領に与えられた時間は、最大限で1年である。彼がこの短いあいだに困難な問題を解決できると思っているのは、オバマ魔術に目をくらまされているアメリカ国民だけではないか。(本文より抜粋)」(1月30日日本経済新聞広告より)

面白い視点だと受け止めました。広告の表現だけで、きちんと目を通していませんから、早飲み込みで勘違いもあるかもしれません。しかし、大統領にオバマ氏との米国民の選択は問題があるという趣旨は十分読み取れます。ブッシュ大統領のやったこと、引き起こしたこと、それで今はたいへん、だから解決をどうすればよいのか、という米国政の大争点は、日高氏の視野には素直に入ってはいないようです。

「オバマ魔術に目をくらまされているアメリカ国民」とは、とりようによっては、日高氏の予測を超えた結果をひきだしたことへの、軽率にととられかねない反応が現れているのではと感じてしまいました。アメリカでの取材経験のベテランが、アメリカ国民意識の低さを指摘していると考えられる表現をしているのですから。

今度の大統領選挙の当選可能性のあった候補は、民主党のオバマ上院議員と共和党のマケイン上院議員のふたりでした。マケイン氏が当選した場合だと、日高氏の「ワシントン情勢から読み解く2009年以降の国際情勢」はどのような内容になったでしょうか。私ならそのほうが「不幸を選択したアメリカ 『マケイン大統領』で世界はどうなる」が、ふさわしい題のように考えるのですが、たぶん日高氏のは違うのではないでしょうか。彼の判断見識、どのように読者に受け止められていくでしょうか。

言ったこと書いたことは、後からでも検証される時代になりました。ダイヤモンド社の「クルーグマンの視座」、昨年後半に出版されたものですが、過去10年にわたる論文を掲載したものです。訳者は正しさがあきらかにされたものでしかもわかりやすいとし、それが出版を実現させた動機になっているようです。カムミンタラも、紙媒体のものから、ウェブマガジンとしてインターネット上の現在まで20年以上の継続してきました。その内容、はたしてどのように受け止められ評価されていくものとなるでしょうか。

以上 (UT) 090130





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2009年01月13日

おすすめします 佐々木譲「警官の紋章」

昨2008年12月に、角川春樹事務所より小説「警官の紋章」が刊行されました。佐々木譲(ささき・じょう)の北海道警察3部作のラストとなる作品です。

第1作「うたう警官」(なぜか後日「笑う警官」に改題)、第2作「警察庁から来た男」に続くものです。第1作で女性警察官殺しの犯人にでっちあげられかけ、以後組織内で冷や飯を食わされ続けている、津久井卓巡査部長が、そして彼を救うために活躍した佐伯宏一警部補たちが、また大活躍をします。

警察官が警察官を殺そうとする、それを食い止めるために行動する、理由も動機もある、そして舞台は洞爺湖サミットに備える北海道というあらすじです。

私には意外な結末となりました。関心を持った方は、ぜひお読みになってください。期待は裏切られない内容と思いましたが。

誇りを持った警察官が、誇りを持って仕事にうちこめる、そのような警察であってほしいとの、作者の思いと、私には思われました。現実はこのようなエールに応える警察組織になっているのでしょうか。フィクションと片付けるにはもったいない、問題提起の書です。

できれば第1作から読んだほうが、第3作の位置づけと筋がよりわかりやすいと思いました。前2作に登場している個性的な警察官たちが、また活躍しているのですから。

最後に、私には第1作が改題されて「笑う警官」というのが、いまだも納得いかない気持を持っています。本年映画化されて公開されるそうなのでそのときにでも、理解させてくれればというのが、1読者の勝手な考えでした。

以上 (UT) 090113

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2009年01月09日

中国で鳥インフルエンザで死者

年明け、中国北京市で、鳥インフルエンザで死者がでたという報道がされました。他でニワトリを購入し北京に持ち帰ってから処理した人が、発症したようです。現地では対応対策に追われたことでしょう。

以前はショッキングなニュースとして、国内外の鳥インフルエンザ報道に注目していました。今回は、カムイミンタラ1月号特集のおかげで、前よりは落ち着いた気持で、報道を受け止めていることを発見しました。内容を理解するということは、こんなにも違うのかという思いです。

それにしても、科学の進歩、人間のたゆまぬ努力、たいしたものだと思います。いろいろな障害で、そうした歩みにブレーキがかかることがないようにしてもらいたいものです。とくに今回の世界的な金融危機で。

以上 (室長) 090109


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2009年01月06日

2009年1月号公開

昨年末、カムイミンタラ2009年1月号(第25号 通巻145号)を公開しました。

特集が、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター、随想が上山雄司さん、三島敬子さん、植田英隆さんです。特集がこれからの事態に対応する新しい動きを伝えています。また随想はそれぞれ熱のこもった寄稿をいただきました。

新しい時代のくることを予測させるような出来事があいついた2008年が暮れ、2009年に入りました。時代を感じ、その中にいることを実感せざるをえない現在です。そのいくばくか、本誌の趣旨にかなう形でお伝えできればと考えています。本年もよろしくお願いします。

以上 (室長) 090106





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2009年01月01日

あけましておめでとうございます

 あけましておめでとうございます。
ここ黒岳では、ここ数日風が強い日が続いています。今日も15m/Sの風があり、雪も30cm以上積もりました。今も深々と降っています。雪の年明けもいいものです。

2009年も四季折々の美しい大雪山・黒岳をお楽しみいただけるよう皆様のお越しを心よりお待ちしております。
本年も安全輸送最優先にスタッフ一同頑張りますので
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

皆様にとって幸せな一年になりますように。

               層雲峡事業所 佐々木
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2008年12月29日

野村義一さん亡くなる

北海道ウタリ協会の会長をながらく務められた野村義一さんが亡くなられました。心からご冥福をお祈りいたします。

野村さんは、カムイミンタラに随想を寄稿され、また北海道ウタリ協会の特集時には、心を開いて取材に応じられました。

それから年数も経ちましたが、アイヌ民族が、先住民族としてようやく今年の国会決議などで正式に認められてきている現在に、ある意味では先進的役割を果たされてきました。そうした流れを実感しながらの人生のしめくくりをされたのではないでしょうか。

カムイミンタラの特集や随想などで、改めて偲んでいただけるなら、当ウェブマガジンとしても、たいへんうれしいことといえます。

以上 (室長) 081229
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2008年12月15日

天木直人氏のブログ12月14日記事

天木直人氏のブログ「天木直人のブログ −日本の動きを伝えたい」は、元外交官の歯に衣を着せぬ直言ブログです。その12月14日記事のひとつが「イラク空自派遣の真実を白日の下にさらした東京(中日)新聞の大スクープ」でした。

私は東京新聞を目にする立場ではありませんが、天木氏によると以下の内容が含まれているようです。

「その大スクープは、航空自衛隊隊員の証言として、『多くの武装米兵を運んだ』、『空自機は米軍のいいように使われ、コマに過ぎなかった』と指摘していることをはっきり書いている。」

そうであれば、天木氏ならずとも「驚くべき証言」です。「えっ、そんなことだったの」にしても「ようやく明らかになったか」にしても。

天木氏は他メディアではまったく報道されていないと述べています。そうかたとえば後追い報道もあるから今朝(15日)はどうかと思いました。しかし、北海道では(でも?)、15日は新聞朝刊の休刊日、すぐに調べるわけにはいきませんでした。

カムイミンタラでは、故箕輪登さんの起こした自衛隊イラク派兵差止北海道訴訟を、特集としてとりあげました。箕輪さんの危惧していたとおりのイラク派兵の実態が明るみにでたということなのでしょうか。

天木直人氏のブログ、彼の正義感倫理観がよくわかる、まことに率直な見解表明のブログです。自身の成長とあいまって、見識に磨きがいっそうかかってきたように受け止めています。また、ひとつ教えられました。そのブログ、今後も少し違った形で続ける気持を、ご本人固めたようです。引き続き期待したいものです。

以上 (室長) 081215





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