2010年08月06日

おすすめします 斉藤邦雄「くにおの警察官人生」

ウェブマガジン2005年11月号特集が、北海道警察の裏金問題追及の取組でした。警察官OBの実名告発を原田宏二さんが行い、斉藤邦雄さんが続くことになりました。

斉藤邦雄さんは、現在「市民の目フォーラム北海道」で代表の原田宏二さんを支えての活動を行っています。そしてこの8月4日共同文化社(札幌)より、「実録 くにおの警察官人生」を出版しました。

高卒後北海道警察へ、そして35年間の警察官生活を行いました。その都度つどの体験経験が豊富に語られています。続いて退職後に、道警の裏金問題で、実名告発に至るいきさつ、以降の奮闘ぶりが、本人らしい語り口で述べられています。

原田宏二さんは、「やましき沈黙の掟を破って −邦さんと私ー」という文章を寄せています。そこでは斉藤さんの果たした役割、人生に対するひたむきさを、暖かく評価しています。

「それにしても、どうして『やましき沈黙の掟』を破ってまで私を助けてくれたのだろうか。邦さんにはそれを破っても何のメリットもなかった。失うものの方が多かった。激しいパッシングも分かっていたはずだ。(中略)
それはやはり、邦さんの人生に対するひたむきさ、誠実さ、純粋さ、他人に対する暖かさではないかと思う。」(14ページ)

また、巻末資料に、今年の参院選に際しての、市民の目フォーラム北海道として各政党に照会した「警察改革に関する政策」がついているのも、たいへん親切な構成にしています。

国民のための警察、であるための、貴重な著作です。多くの方に読まれて欲しい内容です。

以上 (UT) 100806


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2010年07月12日

おすすめします 天木直人「さらば日米同盟!」

元外交官天木直人さんが、6月に講談社より「さらば日米同盟!」を出版しました。イラク戦争当時小泉純一郎首相と外務省に、米国協力反対、自衛隊のイラク反対などを発言、外務省を追われた人です。その後評論・執筆活動を続けてきました。

日本が今後米国とそして世界と向き合うためにどうでなければならないのか、それは軍事同盟である日米同盟を脱却、友好関係でいかなければならないと主張しています。そのために憲法九条を全面に出し、平和国家の道をまい進すべきとしています。単なる反米論者ではない天木さんの、真の日米友好論、熱っぽい内容です。

広い目配りと理由にもどづいた意見、これからの日本外交を考えるうえでの、手引書解説書としても最良のものではないでしょうか。改めて耳を傾けるべき提言にあふれていました。

また文中、自衛隊イラク派遣違憲訴訟に札幌で原告となった元自民党代議士故箕輪登さんに言及、暖かな目線です。別でしたが名古屋の訴訟に天木さんも原告のひとりとして参加、自らの姿勢を貫きました。

ひとりひとりが考えてほしい、そのためにも本書を読んでほしいというメッセージがこめられています。

ひろく読まれてほしい、私もそのように思いました。

以上 (UT) 100712
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2010年06月26日

おすすめします 池井戸潤「民王(たみおう)」

ポプラ社より池井戸潤「民王(たみおう)」が出版されました。本の帯の言葉が「胸がスカッとする痛快エンタメ小説」です。

読んでみましたら、奇想天外な発想と筋でした。主人公は2008年から2009年の時期に政権党民政党の党首で総理大臣となった武藤泰山。2009年の来るべき総選挙を迎えていかに戦うかが課題で、苦労をします。ところが国会演説で、原稿の誤読を連発、漢字が読めない政治家とされてしまいました。じつは彼はそれくらいは読めたのだというのが、内容のひとつなのです。

どうしてそうなったのかを説明すると、読む楽しみを減らしますのでここではふれません。ありえない設定でその誤解が生じたのでした。

武藤泰山は最後には政治家としての初心を思い出します。しめくくりは、以下のとおりです。

「ひとりの政治家として、今再びー俺は民意を問う。」

作者池井戸さん、暖かくやさしい視点で、この小説を書き上げたようです。登場人物のような人たちがいれば、日本もまんざらすてたものではない、という思いになりました。

正面からではなく、ひねりにひねったストーリー展開です。7月11日は参議院選挙投票日となっています。小説を読むことは、その有権者になにがしかの影響もあたえるかもしれません。政治は大事なものだということで。

以上 (UT) 100626

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2010年05月24日

おすすめします 重松清「あすなろ三三七拍子」

小説、ノンフィクションで活躍されている作家重松清さんが、新しい面を見せた小説「あすなろ三三七拍子」を単行本として出版しました。毎日新聞社から2010年3月発行です。

これは2005年から2006年にかけて週刊誌「サンデー毎日」に連載されていたものを、加筆改稿して登場です。

たまたま書店の店頭で目にし手に取ったのが出会いでした。抱腹絶倒、涙あり笑いありの内容です。これくらい面白いものも近来まれ(私には)な作品です。

あすなろ大学というところの応援団、団員がいなくなるということで廃部の危機をむかえます。そのための方策としてOBたちが考え出したのが、社会人を入学させ、再建を図るというもの。OBが創業社長であるエール商事の45歳のサラリーマン藤巻大介が送り込まれます。試験を突破しての入学者としてです。彼の悪戦苦闘がはじまります。他の登場人物も多彩です。世間とのズレ、かみあわなさ、しかし、「ひたむき」なのです。

はたして再建はなるか、という話です。ハラハラさせてくれる展開と結末です。全国に数多くの応援団OBがいるでしょう。その人たちにとっても、青春を思い起こさせる内容になっているかもしれません。

重松さん、いまや時代と会わなくなった大学応援団を舞台にして、損得打算ぬきの「ひたむきさ」「人への奉仕」の賛歌を歌い上げてくれました。執筆当時主人公のほぼ同年齢の重松さんでした。青春を振り返っての作者の気持の投影もあるのでしょう。

人は外見で決めつけてはならない、そんなやさしいメッセージも織り込まれているようでした。

重松さんの作品、ほとんど読んでいませんでした。最初といえるものが「あすなろ三三七拍子」というのも何かのご縁です。これから私ももっと重松作品と親しもうということになりました。

以上 (UT) 100524



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2010年05月03日

おすすめします 井原勝介「岩国に吹いた風」

山口県岩国市の前市長井原勝介さん(1950年生まれ)が「岩国に吹いた風 米軍再編・市民と共にたたかう」(高文研 2009年11月刊 )を出版していました。知らなかったのでたまたま書店の店頭で手に取り購入することとなりました。

題からすると何か勇ましい内容かと思っていました。そもそも井原さんに対するの私のイメージは、はるか北の地にいることもあり、マスコミ報道でしか知らない貧しいものでした。米軍艦載機の新たな岩国基地移駐に一貫して反対し、当時の日本政府などの圧力で、再選を期した2008年2月の市長選挙で敗れた人というものでした。

読んでびっくり、気負いとか激しさを感じさせない語り口でした。おだやかで淡々としているといったほうがよいでしょうか。語られる内容は重く厳しいものがあるのですが。井原さんが、岩国出身であり、労働省勤務を体験したのち、政治家として地方自治にとりくもうとしてことをはじめて知らされました。

自民党が政治支配をしていた時代のひとつの縮図、やり口がたいへん具体的に記述されていました。それだけでも意味がある内容です。

しかし、私が一番強く感じたことは、井原さんが、むしろ今しっかりと足元を見て着実な歩みを続けておられる、ということでした。そして井原勝介・寿加子夫妻が、ともに理解しあって、歩んでいることでした。

本の中で寿加子さんは「夫・井原勝介の背中ー妻からのメッセージ」の文章を寄せています。

「初心に戻り、『草の根ネットワーク岩国』という活動を(2009年)4月に始め、新しい本当の民主主義の芽をここ岩国で育てることを決意し、『草莽塾(そうもうじゅく)』という政治塾も始めました。
 そして私は、収入のない井原が、夢に向かって歩んでいく日々にもう少し付き合うことになりそうです。」

以上 (UT) 100503



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2010年04月30日

層雲峡・黒岳ロープウェイ山麓駅で三浦綾子文学館移動展

層雲峡・黒岳ロープウェイ山麓駅ギャラリーで、三浦綾子記念文学館移動展が、4月29日からはじまりました。4月29日から7月19日までの開催と模様替えをして9月2日から10月30日までの開催です。

文学館からの申し入れがあり、実現の運びとなりました。開館以来特別展をさまざまやっており、それを外部でも展示しようという最初の試みです。

りんゆう観光のウェブマガジン カムイミンタラでも三浦綾子さんのこと、文学館のこと特集もしているご縁からの実現となりました。

多くの方に見ていただきたいものです。

以上 (室長) 100430
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2010年03月20日

真野正美さん、児童詩誌「サイロ」に新しい表紙絵作者

北海道新聞3月16日号朝刊「ひと 2010」欄に、十勝の児童詩誌「サイロ」の新しい表紙絵作者が紹介されていました。1960年1月創刊月刊の「サイロ」、現六花亭製菓の創業者故小田豊四郎さんのきもいりで始まり、現在まで続いています。

創刊時より坂本直行さんが表紙絵を描いてきました。坂本さんも故人となられましたが、これまで遺作を使ってきました。今回51年目となる2月号から、新しい表紙絵がはじまったのです。

真野正美さん(51歳)、大阪市生まれで自動車のデザイナーとして働いてきましたが、画家に転進して現在十勝管内鹿追町に在住。これからを担っていくそうです。

カムイミンタラ1989年1月号(通巻30号)特集は、「児童詩誌サイロ」でした。創刊とその後の活動をとりあげています。今につながる、発刊の意気込みと熱情、改めてふりかえる意味で、お読みいただければと思いました。

以上 (室長) 100320

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2010年03月10日

おすすめします 西山太吉「メディアと民主主義」

七つ森書館より山口二郎編著「民主政治のはじまり 政権交代を機に世界を視る」が1月に刊行されました。「時計台レッスン3」としてです。

2008年2009年に講演された人の講演などが収録されていますが、そのなかに2008年9月の元毎日新聞記者西山太吉氏のものがあります。沖縄「密約」に関する報道で注目を浴び、そのことにより厳しい生活を余儀なくされた人です。山崎豊子さんの小説「運命の人」のモデルともなりました。

西山氏の講演、彼の政治記者としての見識に触れる貴重なものと受け止めました。歴史的に戦後をみつめていたひとりであることを知らされたからです。また対談のなかで「バックグラウンド・ブリーフィング(背景説明」をきちんと行うのが、メディアの役割として大事なこととの指摘されていたのは印象深いところでした。ご本人の体験からも言える思い提言です。

広く読まれてほしい文章と思いました。

以上 (UT) 100310

posted by kamuimintara at 16:02| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめします。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月02日

おすすめします 「市民が財政白書をつくったらーー」

ウェブマガジン カムイミンタラ1月号特集が、札幌市の財政白書をつくった市民グループのことでした。

そのなかで、指導された大和田一紘(おおわだ・いっこう NPO法人多摩住民自治研究所副理事長)の著作が紹介されています。その1冊が「財政白書」づくりに取り組んだ人たちの率直な発言がわかりやすく示されていました。

「市民が財政白書をつくったらーー」(大和田一紘編 自治体研究社 2009年5月刊)です。実際に白書づくりにたずさわった人たちが、座談会でレポートで登場し率直な声を出しています。

まったく価値観が違う人たちが集まって、「どうしても一致できない」ものははずし、「一致できないが妥協できる」ものを乗せることで個性をだしたところ、分析の結果としての数字をどう評価するかで議論したところ、さまざまです。

しかし、手ごたえを感じ、意気高い取り組みが、全国にひろがっていることを理解する内容です。創意あふれる工夫と知恵が、集った人たちを続けさせたことも。

努力はむくいられ、元気がでることになる、そういった気持にさせることうけあいの快著です。

以上 (UT) 100202

posted by kamuimintara at 18:23| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめします。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月24日

[ 「おサイフの会」をとりあげて

カムイミンタラ2010年1月号特集は札幌市の財政白書を作成した市民グループ(略称 おサイフの会)をとりあげました。

2年かけて20年間にわたる財政分析をおこなって白書を発行し、その後2年間活動を続けてきたことを、紹介をかねた特集です。すでに一定の知名度もあり、新聞テレビなどでもいろいろとりあげられてきました。屋上屋のことにはならないかとの心配もしながらの編集者の取材でした。

公開後「おサイフの会」の方より、これまでになくほりさげた記事にしてもらったとの評価をいただきました。スペースや時間の関係で、表面的だったりと感じられるものもままあったそうです。望外の評価と驚いたものでした。

多くの方々に読まれてほしいものという気持ちをもてたことは幸いでした。

以上 (室長) 100124

posted by kamuimintara at 12:36| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする