2011年10月11日

おすすめします 稲葉圭昭「恥さらし」

10月に「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」が講談社より出版されました。著者は、稲葉圭昭(いなば・よしあき)氏、北海道警察銃器対策課・元警部です。本人はこの2011年9月23日、懲役9年の刑期を終えました(2010年6月に仮出所)。2003年4月に有罪となり服役の身でした。現職警官でありながら、覚醒剤の使用、営利目的所持、銃刀法違反の罪を問われてです。

「恥さらし」は、稲葉氏の警察官人生のはじまりから、転落、そして逮捕有罪服役の歩みが、本人によって語られています。北海道警察(道警)の「銃器対策課のエース」と呼ばれたこともあった彼が、どうして悪徳警官となってしまったのか、重い現実です。

暴力団対応の警察と警察官の活動の困難さ、難しさが、よくわかる内容です。真剣に取り組んだものの、道を踏み外してしまった人間の反省と自戒が、淡々と語られています。また組織の間違った方針がどれほど、第一線の活動をゆがめるものであるかの、問題提起の書にもなっています。

かっての上司でもあった原田宏二氏(市民の目フォーラム代表)が「稲葉佳昭と私」と題して解説を寄稿して最後に載っています。原田氏が刑務所の稲葉氏に送った手紙に対し、稲葉氏が自らの罪の償いの意味で「その意味で日記(回想録)というのも一つの手段と思います」と返事があったそうです。その言葉の実現が今回の本と原田氏はとらえました。

原田氏は2004年2月道警の裏金告発を行いました。そのきっかけのひとつに、とかげの尻尾の切捨てのような稲葉氏への道警の対応への怒りももあったそうです。原田氏登場のテレビ番組を稲葉氏は千葉刑務所で見たそうです。ウェブマガジン カムイミンタラ 2005年11月号(通巻126号)特集「草の根の声を知事と道議会に」で、当時の原田氏たちの裏金解明への努力を取り上げています。


皮切りの原田宏二氏、続いた斉藤邦雄氏はそれぞれ「たたかう警官」(現ハルキ文庫 最初の書名は「警察内部告発者」)、「くにおの警察官人生」(共同文化社)を機会あって出版、自らの声をまわりに届けました。「恥さらし」はそれにつづくものとなりました。それぞれの立場状況にあっての腐敗不正を許さないという姿勢、3著で多面的多角的に理解できるのではないでしょうか。

稲葉氏は終章で以下のようにしめくくっています。
「最後になりましたが、これまで述べてきた私の罪について関係者をはじめ、国民の皆様に深くお詫び申し上げます。そして道警銃器対策課が行ったさまざまな違法捜査について、今になっても一切その責任を認めようとしない道警組織や幹部たちに代わり、深謝します。
そして、私の社会復帰を応援してくれた方々には心から謝意を申し上げたい。高校の同級生や大学の柔道部の仲間たちには服役中も出所後の今も、多大な支援をいただいています。
また拘置所、刑務所で私を気にかけ、いつも声を掛けてくださった刑務間の方々は、私に立ち直るきっかけを与えてくれました。仮出所から刑期満了日までの1年3ヶ月の間、日々の生活から仕事面にいたるまで、さまざまなアドバイスをいただいた保護監察官、保護司の先生方にも、心から感謝しています。
何よりも刑務所で服役していた8年間、このような私を待っていてくれた家族には頭も上がりません。
私を支えてくださったすべての方々に、心より感謝いたします。」

稲葉佳昭さん、これからの一歩一歩しっかり歩んでください。また今回の真摯な問いかけは、多くの人に届くこと間違いないでしょう。この世の中、捨てたものばかりではないのですから。日本の警察の仕組みもありかたも問い直されていることは間違いないようです。

2011年10月11日 室長


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2011年08月06日

おすすめします「母の語る小林多喜二」

「母の語る小林多喜二」(小林セキ述、小林廣編、荻野富士夫解説 新日本出版社)が7月に出版されました。

地元小樽で小林セキさんとも親しかった小林廣氏が、セキさんからの聞き書きをまとめ、出版の意向を持っていました。戦後まもなくのことです。しかし出版にいたらず、その原稿が長らく埋もれていたのでした。多喜二の研究家でもある小樽商大教授荻野富士夫氏が、再発見、関係者の遺族にも了解をとり、60年余の年月を経て初めて出版されました。

荻野氏の解説は懇切なもので、口述内容や編者の努力などに触れ、理解を助けてくれます。荻野氏にとっても感慨深い出版への協力となったのではないでしょうか。また荻野氏は「小林多喜二の手紙」(岩波文庫)の編者であり、今回の「母の語る小林多喜二」で多喜二像をさらに掘り下げてくれました。

小林セキさんは、私にはふたつの言葉で印象に残っている人です。特高による拷問死となった多喜二の遺体と対面した時の言葉、「それ、もう一度立たねか、みんなのためにもう一度立たねか」がそのひとつです。もおうひとつは、書き残した言葉、「ああ、またこの2月が来た。本当にこの2月という月が嫌な月、声を一杯に泣きたい どこへいっても泣かれない。ああ でもラジオで少し助かる ああ涙がでる めがねがくもる」(原文はほどんどかながき)でした。

戦前のプロレタリア作家小林多喜二は、近年になって、三浦綾子の小説「母」、ノーマ・フィールドの多喜二研究、荻野富士夫の「小林多喜二の手紙」などで、人間像も含めて新たな陽を当てられてきました。それもあってか彼の「蟹工船」が近年ベストセラーとなりました。

「母の語る小林多喜二」は、人間らしい多喜二と、多喜二の行動を見守った母親とを、改めて伝えてくれるものとなりました。私の一面的な多喜二像、セキ像を豊かにしてくれました。十分とか満足にとかは、とても言えた柄ではありません。でもかなりの具体的なイメージを与えてくれました。

カムイミンタラ2005年9月号(通巻125号)では、特集「多喜二の『未完成性』が問いかけるもの」です。ノーマ・フィールドさんが小林多喜二を語っています。これも目を通していただけると幸いです。

2011年8月6日 UT





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2011年06月25日

6月23日は「沖縄県慰霊の日」

例年6月23日は、「沖縄県慰霊の日」です。太平洋戦争における沖縄戦終結の日とされ、沖縄県の人たちにとって大切な日です。

鳥目の会というグループ、会社の了解をとって「沖縄の痛みは日本の痛み 6月23日は沖縄県慰霊の日」との垂れ幕を6月中りんゆう観光社屋に掲げています。

沖縄での北海道の戦死者1万人以上、沖縄県民につぐ多さです。その重みも、しっかり受け止めなければならないようです。

2011年6月25日 室長


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2010年08月06日

おすすめします 斉藤邦雄「くにおの警察官人生」

ウェブマガジン2005年11月号特集が、北海道警察の裏金問題追及の取組でした。警察官OBの実名告発を原田宏二さんが行い、斉藤邦雄さんが続くことになりました。

斉藤邦雄さんは、現在「市民の目フォーラム北海道」で代表の原田宏二さんを支えての活動を行っています。そしてこの8月4日共同文化社(札幌)より、「実録 くにおの警察官人生」を出版しました。

高卒後北海道警察へ、そして35年間の警察官生活を行いました。その都度つどの体験経験が豊富に語られています。続いて退職後に、道警の裏金問題で、実名告発に至るいきさつ、以降の奮闘ぶりが、本人らしい語り口で述べられています。

原田宏二さんは、「やましき沈黙の掟を破って −邦さんと私ー」という文章を寄せています。そこでは斉藤さんの果たした役割、人生に対するひたむきさを、暖かく評価しています。

「それにしても、どうして『やましき沈黙の掟』を破ってまで私を助けてくれたのだろうか。邦さんにはそれを破っても何のメリットもなかった。失うものの方が多かった。激しいパッシングも分かっていたはずだ。(中略)
それはやはり、邦さんの人生に対するひたむきさ、誠実さ、純粋さ、他人に対する暖かさではないかと思う。」(14ページ)

また、巻末資料に、今年の参院選に際しての、市民の目フォーラム北海道として各政党に照会した「警察改革に関する政策」がついているのも、たいへん親切な構成にしています。

国民のための警察、であるための、貴重な著作です。多くの方に読まれて欲しい内容です。

以上 (UT) 100806


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2010年07月12日

おすすめします 天木直人「さらば日米同盟!」

元外交官天木直人さんが、6月に講談社より「さらば日米同盟!」を出版しました。イラク戦争当時小泉純一郎首相と外務省に、米国協力反対、自衛隊のイラク反対などを発言、外務省を追われた人です。その後評論・執筆活動を続けてきました。

日本が今後米国とそして世界と向き合うためにどうでなければならないのか、それは軍事同盟である日米同盟を脱却、友好関係でいかなければならないと主張しています。そのために憲法九条を全面に出し、平和国家の道をまい進すべきとしています。単なる反米論者ではない天木さんの、真の日米友好論、熱っぽい内容です。

広い目配りと理由にもどづいた意見、これからの日本外交を考えるうえでの、手引書解説書としても最良のものではないでしょうか。改めて耳を傾けるべき提言にあふれていました。

また文中、自衛隊イラク派遣違憲訴訟に札幌で原告となった元自民党代議士故箕輪登さんに言及、暖かな目線です。別でしたが名古屋の訴訟に天木さんも原告のひとりとして参加、自らの姿勢を貫きました。

ひとりひとりが考えてほしい、そのためにも本書を読んでほしいというメッセージがこめられています。

ひろく読まれてほしい、私もそのように思いました。

以上 (UT) 100712
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2010年06月26日

おすすめします 池井戸潤「民王(たみおう)」

ポプラ社より池井戸潤「民王(たみおう)」が出版されました。本の帯の言葉が「胸がスカッとする痛快エンタメ小説」です。

読んでみましたら、奇想天外な発想と筋でした。主人公は2008年から2009年の時期に政権党民政党の党首で総理大臣となった武藤泰山。2009年の来るべき総選挙を迎えていかに戦うかが課題で、苦労をします。ところが国会演説で、原稿の誤読を連発、漢字が読めない政治家とされてしまいました。じつは彼はそれくらいは読めたのだというのが、内容のひとつなのです。

どうしてそうなったのかを説明すると、読む楽しみを減らしますのでここではふれません。ありえない設定でその誤解が生じたのでした。

武藤泰山は最後には政治家としての初心を思い出します。しめくくりは、以下のとおりです。

「ひとりの政治家として、今再びー俺は民意を問う。」

作者池井戸さん、暖かくやさしい視点で、この小説を書き上げたようです。登場人物のような人たちがいれば、日本もまんざらすてたものではない、という思いになりました。

正面からではなく、ひねりにひねったストーリー展開です。7月11日は参議院選挙投票日となっています。小説を読むことは、その有権者になにがしかの影響もあたえるかもしれません。政治は大事なものだということで。

以上 (UT) 100626

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2010年05月24日

おすすめします 重松清「あすなろ三三七拍子」

小説、ノンフィクションで活躍されている作家重松清さんが、新しい面を見せた小説「あすなろ三三七拍子」を単行本として出版しました。毎日新聞社から2010年3月発行です。

これは2005年から2006年にかけて週刊誌「サンデー毎日」に連載されていたものを、加筆改稿して登場です。

たまたま書店の店頭で目にし手に取ったのが出会いでした。抱腹絶倒、涙あり笑いありの内容です。これくらい面白いものも近来まれ(私には)な作品です。

あすなろ大学というところの応援団、団員がいなくなるということで廃部の危機をむかえます。そのための方策としてOBたちが考え出したのが、社会人を入学させ、再建を図るというもの。OBが創業社長であるエール商事の45歳のサラリーマン藤巻大介が送り込まれます。試験を突破しての入学者としてです。彼の悪戦苦闘がはじまります。他の登場人物も多彩です。世間とのズレ、かみあわなさ、しかし、「ひたむき」なのです。

はたして再建はなるか、という話です。ハラハラさせてくれる展開と結末です。全国に数多くの応援団OBがいるでしょう。その人たちにとっても、青春を思い起こさせる内容になっているかもしれません。

重松さん、いまや時代と会わなくなった大学応援団を舞台にして、損得打算ぬきの「ひたむきさ」「人への奉仕」の賛歌を歌い上げてくれました。執筆当時主人公のほぼ同年齢の重松さんでした。青春を振り返っての作者の気持の投影もあるのでしょう。

人は外見で決めつけてはならない、そんなやさしいメッセージも織り込まれているようでした。

重松さんの作品、ほとんど読んでいませんでした。最初といえるものが「あすなろ三三七拍子」というのも何かのご縁です。これから私ももっと重松作品と親しもうということになりました。

以上 (UT) 100524



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2010年05月03日

おすすめします 井原勝介「岩国に吹いた風」

山口県岩国市の前市長井原勝介さん(1950年生まれ)が「岩国に吹いた風 米軍再編・市民と共にたたかう」(高文研 2009年11月刊 )を出版していました。知らなかったのでたまたま書店の店頭で手に取り購入することとなりました。

題からすると何か勇ましい内容かと思っていました。そもそも井原さんに対するの私のイメージは、はるか北の地にいることもあり、マスコミ報道でしか知らない貧しいものでした。米軍艦載機の新たな岩国基地移駐に一貫して反対し、当時の日本政府などの圧力で、再選を期した2008年2月の市長選挙で敗れた人というものでした。

読んでびっくり、気負いとか激しさを感じさせない語り口でした。おだやかで淡々としているといったほうがよいでしょうか。語られる内容は重く厳しいものがあるのですが。井原さんが、岩国出身であり、労働省勤務を体験したのち、政治家として地方自治にとりくもうとしてことをはじめて知らされました。

自民党が政治支配をしていた時代のひとつの縮図、やり口がたいへん具体的に記述されていました。それだけでも意味がある内容です。

しかし、私が一番強く感じたことは、井原さんが、むしろ今しっかりと足元を見て着実な歩みを続けておられる、ということでした。そして井原勝介・寿加子夫妻が、ともに理解しあって、歩んでいることでした。

本の中で寿加子さんは「夫・井原勝介の背中ー妻からのメッセージ」の文章を寄せています。

「初心に戻り、『草の根ネットワーク岩国』という活動を(2009年)4月に始め、新しい本当の民主主義の芽をここ岩国で育てることを決意し、『草莽塾(そうもうじゅく)』という政治塾も始めました。
 そして私は、収入のない井原が、夢に向かって歩んでいく日々にもう少し付き合うことになりそうです。」

以上 (UT) 100503



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2010年03月10日

おすすめします 西山太吉「メディアと民主主義」

七つ森書館より山口二郎編著「民主政治のはじまり 政権交代を機に世界を視る」が1月に刊行されました。「時計台レッスン3」としてです。

2008年2009年に講演された人の講演などが収録されていますが、そのなかに2008年9月の元毎日新聞記者西山太吉氏のものがあります。沖縄「密約」に関する報道で注目を浴び、そのことにより厳しい生活を余儀なくされた人です。山崎豊子さんの小説「運命の人」のモデルともなりました。

西山氏の講演、彼の政治記者としての見識に触れる貴重なものと受け止めました。歴史的に戦後をみつめていたひとりであることを知らされたからです。また対談のなかで「バックグラウンド・ブリーフィング(背景説明」をきちんと行うのが、メディアの役割として大事なこととの指摘されていたのは印象深いところでした。ご本人の体験からも言える思い提言です。

広く読まれてほしい文章と思いました。

以上 (UT) 100310

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2010年02月02日

おすすめします 「市民が財政白書をつくったらーー」

ウェブマガジン カムイミンタラ1月号特集が、札幌市の財政白書をつくった市民グループのことでした。

そのなかで、指導された大和田一紘(おおわだ・いっこう NPO法人多摩住民自治研究所副理事長)の著作が紹介されています。その1冊が「財政白書」づくりに取り組んだ人たちの率直な発言がわかりやすく示されていました。

「市民が財政白書をつくったらーー」(大和田一紘編 自治体研究社 2009年5月刊)です。実際に白書づくりにたずさわった人たちが、座談会でレポートで登場し率直な声を出しています。

まったく価値観が違う人たちが集まって、「どうしても一致できない」ものははずし、「一致できないが妥協できる」ものを乗せることで個性をだしたところ、分析の結果としての数字をどう評価するかで議論したところ、さまざまです。

しかし、手ごたえを感じ、意気高い取り組みが、全国にひろがっていることを理解する内容です。創意あふれる工夫と知恵が、集った人たちを続けさせたことも。

努力はむくいられ、元気がでることになる、そういった気持にさせることうけあいの快著です。

以上 (UT) 100202

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2009年12月03日

おすすめします 映画「one shot one kill ー兵士になるということー」

ウェブマガジン カムイミンタラ2007年7月号(第16号 通巻136号)特集は、「声をあげるアメリカ市民 藤本幸久『戦争をする国の人々』を撮る」でした。その藤本監督が時間をかけ、2本の作品とし上映をはじめました。「one shot one kill ー兵士になるということー」「アメリカ −戦争をする国の人々ー」です。

札幌圏での皮切り上映予定は以下のとおりです。

「one shot one kill」  1時間48分
12月15日@13時30分より A19時より
札幌市北区北8西3 エルプラザホール
当日 1500円(前売り1000円 4丁目プラザプレイガイド)

「アメリカ −戦争をする国の人々」 8時間14分
12月26日(土)27日(日)10時30分より1日1回上映
江別市JR江別駅前徒歩5分 011−384−4011
両日限定100席 2000円(4丁目プラザプレイガイド、ども)

「one shot one kill」は米軍海兵隊の新兵キャンプを取材したドキュメンタリーです。杮落としを11月7日沖縄県の辺野古コミュニティーセンターで行いました。地元紙琉球新報、沖縄タイムスにもおおきく報道されました。

逐次、全国で上映されていきます。多くの人がご覧になることをおすすめします。

連絡先

影山事務所  011−206−4570
marinesogohome@gmail.com

以上 (UT) 091203










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2009年11月26日

おすすめします 映画「沈まぬ太陽」

山ア豊子(やまさき・とよこ)さんの小説「沈まぬ太陽」が映画化され公開されました。

あの壮大な長編小説がどのように映画化されたのかというのが、私の一番の関心事でした。そのこともふくめ、映画を観ましたので、感想めいたことをここに書くこととします。

小説をコンパクトにまとめた脚本になっていました。その意味での小説との違いはあります。しかし、作者が作品にこめた思いを十分に表した映画になっていたというのか、私の感想になりました。したがって、見事な映画であると言わなくてはなりません。

つくった映画監督の作品としてはこれが初めてでした。シナリオライターも名前を今回で覚えましたから、わかっていた人ではありません。しかし、一流の才能あふれる人たちのレベルとはたいしたものと、俳優たちを含め感じ入りました。

山アさんが、若い人たちにも観てほしいと言葉をよせていますが、そのとおりだと思いました。国民的映画といっても言い過ぎではない、というのが私の気持です。今。「沈まぬ太陽」の小説や映画からくみとるべきことが本当にある、そのためにももっともっと広く知られてほしいと思ったからです。それが何なのかは、映画を観ていない方、小説を読んでいない方のために、言及(私見ですが)しません。

余談ですが、主人公恩地元(おんち・はじめ)が、手土産持参で訪問先に顔をだします。私は映画の中で使われているその紙袋に見覚えがありました。いまも変わらぬ某有名菓子店のものでした。当時に忠実なつくりをしていますから、実際に使われたのもそうだったのでしょう。小説には、その菓子店の名称まではなかったように思うのですが、確かめてはいません。それほど細部にまでこだわっての映画ということをいいたかったからです。それと、知人が手土産でその袋を下げて現れたことで、映画の印象が呼び覚まされた体験が少し前のあったからです。

映画はアフリカの大地で、恩地がアフリカ象を打ち倒すことからはじまり、最後はアフリカの動物に銃ではなくカメラをむけるシーンで終わります。これもシナリオの見事さを心憎いまでに示しているひとつです。

以上 (UT) 091126



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2009年08月11日

おすすめします 佐藤貴美子「われら青春の時」

6月に新日本出版社から「われら青春の時」が出版されました。1950年代の医療運動をテーマにした小説です。20代の若いほやほやのなりたて医師が、地域医療に飛込んでいきます。その活動の中で本人も成長し、単に個人の医師や単体の病院の次元にとどまらない医療運動も成長していきます。

著者の佐藤貴美子さんは、主人公のモデルとなる女性医師との出会い、取材を通して、創作意欲をかきたてられたようです。

戦後の若々しい民主化の息吹、動きが、具体的によく描かれています。主人公も含め群像劇としても活き活きとしています。地域、家族、友情、苦労、努力、満載の痛快なエピソードが、笑わせも泣かせもさせてくれます。今に伝わるもの、今受け止めなければならないものはあるようです。

時代背景となっているスタートの時期は、まだ日本に国民皆保険制度がないときでした。1961(昭和31)年国民健康保険法が成立し国民皆保険制度が出来ましたが、その以前の貧しさから医療から遠ざけられている人々の実態が本当に生々しく迫るものになっていました。

旭川の作家故三浦綾子さんは戦後の闘病生活をまさに皆保険制度のないなか送りました。「両親はわたしの療養の世話ですっかり貧しくなった」といった表現を何かで目にした記憶があります。

朝日新聞の懸賞小説で選ばれ、庶民で体の弱い家庭の主婦からいちやく人気小説家としてその後の一生を送りました。形だけ見れば、サクセス・ストーリーであり、めでたしめでたしの話です。作家としての力量もその後の作品が示してくれています。しかし思いがけない懸賞金は負担を負った両親へのお返しにもはからずも役に立ったということにもなりました。2重3重のおかげが、たまたま応募しようと思い立ち夫光世さんの協力で実行できたことから生まれたのです。

「われら青春の時」を読んで、そのことを改めて思い起こすことになりました。戦後社会はいろいろな前向きの階段を歩んできていたのです。そして改善改革をしようとするさまざまな人々の声や活動が、それらを実現するてこになっていたことも。

小説では、松川事件などでの間違った政府関係者の発言やそれをうのみしにしたマスコミ報道で、共産党がまったく色眼鏡で見られていたことの雰囲気も良く出ています。もっとも戦後のそれまでの路線も問題もあったでしょうが。その壁がとりはらわれていったのは、医療活動、皆保険の運動、工場被害の解決のための努力を、まわりが認めていった結果でした。好き嫌い、支持する支持しないは別として、認めざるを得ない社会的存在になりました。結果として周りが理解し、受け入れていったのです。そして主人公たちの運動の飛躍は、伊勢湾台風被害での救援活動だったそうです。日本社会、ふところも深い社会であることもさらに知りました。

小説の中ですが、主人公は医療活動にたずさわっていくなか、理解を深めた日本共産党にも入党し、生涯の姿勢としたようです。社会に貢献する活動をしてきた立派な人を描いているわけですが、政治的に門外漢である読み手には、ズバリズバリと書かれていることに、いささかとまどいや違和感を感じるむきもあるかもしれません。私は知らない世間を知る意味でというななめからの角度で面白く読みましたが。

じつは知人からすすめられ、読んだ小説でした。佐藤貴美子さんもそれまでまったく知りませんでした。読んだところ面白い、掘り出し物に出会った気持です。きっかけを作った人に感謝することとなり、この文章となりました。

以上 (UT) 090811







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2009年06月27日

おすすめします 「運命の人」第4巻がでました

山ア豊子さんの小説「運命の人」が単行本の第4巻が出版されて、完結しました。

舞台は急転して、沖縄です。ぼろぼろになった主人公、元新聞記者弓成は、そこで大きく自分をとりもどすことになります。

作者は、弓成と、彼をとりまく人々(現地の人、そして家族など)とに、未来を託す気持で、小説を閉じようとしているように思われます。現実は過酷でも、それに立ち向かうすがすがしさが、余韻として残された作品です。

内容詳細は、手にとって読むことでご確認ください。

沖縄密約は30年たって証拠文書の存在が、米国から発見されました。日本人歴史研究者に手によるものです。それも描かれています。

取材対象者の多さ幅広さ、綿密な資料収集、作品の厚みを支えているものになっています。第4巻の巻末のリストは圧巻です。

以上 (UT) 090627
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2009年05月29日

おすすめします 山崎豊子「運命の人」

月刊誌文藝春秋に、作家山ア豊子さんが、2005年1月号から2009年2月号まで連載していた「運命の人」が、文藝春秋社より全4巻の単行本として出版されています。5月末で3巻まで、6月に4巻がでて完結予定です。

月刊誌に連載中に気づき、飛び飛びですが読んでいました。完結もすぐ知らず、掲載されていないので、終わったのかまた期間をおいての継続かと、2月3月勝手に思っていました。

それが完結していて、4月から単行本として出版されました。おかげで、各号で機会のあるかぎり読んだものを、まとめて読めることとなりました。そうしてみると、連載で読んだ印象以上の読みごたえとなりました。ストーリーが面白い、主人公などの登場人物がじつに個性的です。事実をもとにしたフィクションですが、掘り下げた取材の上に、作者の思いがあふれた渾身の力作になっています。残りの4巻を首を長くして待っている心境です。

「文藝春秋」6月号に、山アさんが「『運命の人』と私」と題して談話を寄せています。そして読売新聞5月13日朝刊文化欄で、「沖縄の痛み 書ききる責務」とのインタビュー記事がでました。両方を読んで、山アさんという人、思いをようやく少しわかる気持になりました。

今84歳の作家が10年かけての「運命の人」、国家権力がどのようなものか、取り上げたことについてはそれでよいのかという、痛烈な声を滲ませたものになっているかと受け止めました。

知るべきことを知らず、無関心でいることは、自分もとんでもないことに巻き込まれている可能性があることに、気づかせてくれました。私でいう「沖縄密約事件」にもっと注意をはらいたいと思いました。

今年の特記される出版のひとつになるのではないのでしょうか。面白さもばつぐん、多くの人に読まれてほしいものです。

以上 (UT) 090529

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2009年04月14日

おすすめします 仙波敏郎「現職警官『裏金』内部告発」

現職警察官として、愛媛県警の「裏金」を告発した仙波敏郎さんが、この4月講談社より自身の体験をまとめた「現職警官『裏金』内部告発」を本として出しました。

「2009年(平成21年)3月31日、私は満60歳の定年を迎え、42年間の警察官人生にピリオドを打った。思えば、波乱に満ちた42年間であった。(中略)
警察官としての職務を全うし、誰にも恥じることなく、市民の安全を守るために第一線の現場に立ち続けてきた私に辞める理由などひとつもない。そもそも組織的な裏金づくりをやめていれば、私が告発会見をする必要はなかった。本来、辞めるべきは職権を濫用し、不正に手を染めた悪人たちであって、私ではない。
いくら幹部たちが私を辞めさせたいと思っても、正当な理由がなければ辞めさせることはできない。愛媛県警が最後まで私を辞めさせることができないのであれば、それは、私が言ってきたことが
正しく、一警察官として果たすべき責務を全うしたからだと正々堂々胸を張ることができる。そのとき初めて、私の『正義』が満天下に証明されるのだ。
だからこそ定年まで戦い続け、勤め上げることが重要だった。定年退職は、私にとって正義を貫いたことの証、勲章のようなものだと思っている。」(プロローグ −36年間の孤独な闘い)

「この本をまとめる過程で、『人間は1人で生きているわけではない』と改めて感じた。その気づきがなければ、私は怒りだけを持って退職しただろう。定年の日に感謝の気持を胸に警察を去ることができるのは、支えてくださったみなさんのおかげだ。」(エピローグ −友への誓い)

「事実は小説よりも奇なり」にふさわしい内容です。そのまま警世の書であると言っても過言ではないでしょう。そして登場する人間の暖かさ、すばらしさ、仙波さんもそれらの人々とも出会い(家族もふくめて)を経て、自らの成長するなかで筋を通してきました。そのことがじつにわかる内容にもなっています。ひとりでも多くの人に手にとって読んでいただきたい本です。

なお、警察の裏金問題の口火を切り、裏金問題に手を染めることを拒否していた仙波さんの実名告発の遠因ともなったのが、北海道警察の裏金実名告発(退職後でしたが)とその後の解明を求める運動でした。ウェブマガジン2005年11月号特集の「草の根の声を知事と同議会に」が北海道でも警察裏金追及の動きを紹介しています。

以上 (UT) 090414




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2009年03月29日

おすすめします ノーマ・フィールド「小林多喜二 −21世紀にどう読むか」

シカゴ大学教授ノーマ・フィールドさんが「小林多喜二 −21世紀にどう読むか」を岩波新書から出版しました。

ノーマさんは、「ウェブマガジン カムイミンタラ」の取材に応じ、それは2005年9月号(第5号 通巻125号)特集「ノーマ・フィールドさん小林多喜二を語る 多喜二の『未完成性』が問いかけるもの」になりました。母親が日本人、その縁が北海道小樽市につながっている人でもあります。日本文学の古典の研究者としての歩みの中で、明治以降の近代日本文学へも関心を広げ、小樽にも滞在して小林多喜二にもその目が及ぶことになりました。プロレタリア文学者とされる小林多喜二を、w幅広い視野で斬新な提起も含まれたとらえかたをしており、また作家像を暖かくとらえているところは、カムイミンタラ特集でもうかがえるものとなっています。

今回の岩波新書、これまでのノーマさんの到達点あるいは集大成ともいうべき中身の濃い内容のものとなっています。

最初と最後にあたるプロローグとエピローグのなかで、3部構成の本文と違って、小林多喜二を「多喜二さん」「あなた」と呼びかけています。いくつかのノーマさんが体験したエピソードから、小林多喜二がどのように目にとまり、対象として大きくなっていったことがふれられています。そして、多喜二について言われてきたこと、それらへの自分の観点を、要領よく示しています。本文を理解し、手引きとするのにふさわしいスタートとしめくくりです。

3部構成の本体は、多喜二の生涯、作品の分析、それにとどまらず、戦前戦後の多喜二にかかわる論争についても筆は及んでいます。これまでも多喜二とプロレタリア文学に関しての論争、党派性、「政治の優位性」といったことへも踏み込んだものです。自身の意見もそういったことに対していねいに言及されています。

小林多喜二の改めての評価につながる近年の新しい大きな一石は、三浦綾子さんの小説「母」でした。ノーマさんは、違う形ですが、改めて新しい一石を投じたといっても過言ではないでしょう。それにしてもコンパクトな百科全書といっていい、広さを持った内容です。到達点論点なども俯瞰もでき個別なことにも行き着ける内容になっています。一里塚を打ち立てたといってよいかもしれません。これからは多喜二を知ろうわかろうという意欲のある人には、どうあっても通らなければならないものとして位置づけられるのではないでしょうか。どこの道からでもノーマさんのところからがいまのところ一番鳥瞰も俯瞰もできるものとして。

さらに高くも低くもなく、多喜二の目線からのとらえかたに意を注いでいます。なお豊かさを受け止めさせる裏打ちがされているのです。不毛な荒野が広がっている風景ではないのです。田口タキへの手紙から出会ったノーマさんの旅と歩み、この見事な一里塚をしめすところまできたのです。

以上 (UT) 090329





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2009年01月30日

オバマ大統領をどう見ていくか、私ならこうですが

1月20日、バラク・オバマ氏が第44代米国大統領に就任、活動を始めました。黒人が大統領に選挙で選ばれたことで、米国にも世界にも大きな1ページを印したオバマ氏。大統領としての実績ははたしてどんなものを残すことになるのでしょうか。経済危機の中、多難な船出は誰の目にも明らかなのですから。

イラク戦争、経済弱者への目配りという点では、前ブッシュ大統領ときわだった政策的ちがいの意見を持っていたオバマ氏ですから、かなりの転換となることを実行することにもなるでしょう。国民皆保険制度にふみこめるならこれも新しい1ページをつくることになるでしょう。

しかし世界平和へ、日本が背負っている不平等克服へ、などという課題ではどうでしょうか。日本も、日本人もどんどんものをいうことでなければ良く変わることはないかもしれません。その意味で「channge」は、我々にも投げかけられたものかもしれません。

期待半分、不安半分の私ですが、世の中は広いもので、いろいろな意見見方がさまざまあります。オバマ氏に関する本の出版があいつぐなか、
オバマ大統領には期待できないという中味らしい本がでました。題して「不幸を選択したアメリカ 『オバマ大統領』で世界はどうなる」(PHP研究所)です。著者は「ジャーナリスト」日高義樹氏。ワシントン情報から読み解く2009年以後の国際情勢について著者の見解を述べた内容とのふれこみです。

「オバマ大統領に与えられた時間は、最大限で1年である。彼がこの短いあいだに困難な問題を解決できると思っているのは、オバマ魔術に目をくらまされているアメリカ国民だけではないか。(本文より抜粋)」(1月30日日本経済新聞広告より)

面白い視点だと受け止めました。広告の表現だけで、きちんと目を通していませんから、早飲み込みで勘違いもあるかもしれません。しかし、大統領にオバマ氏との米国民の選択は問題があるという趣旨は十分読み取れます。ブッシュ大統領のやったこと、引き起こしたこと、それで今はたいへん、だから解決をどうすればよいのか、という米国政の大争点は、日高氏の視野には素直に入ってはいないようです。

「オバマ魔術に目をくらまされているアメリカ国民」とは、とりようによっては、日高氏の予測を超えた結果をひきだしたことへの、軽率にととられかねない反応が現れているのではと感じてしまいました。アメリカでの取材経験のベテランが、アメリカ国民意識の低さを指摘していると考えられる表現をしているのですから。

今度の大統領選挙の当選可能性のあった候補は、民主党のオバマ上院議員と共和党のマケイン上院議員のふたりでした。マケイン氏が当選した場合だと、日高氏の「ワシントン情勢から読み解く2009年以降の国際情勢」はどのような内容になったでしょうか。私ならそのほうが「不幸を選択したアメリカ 『マケイン大統領』で世界はどうなる」が、ふさわしい題のように考えるのですが、たぶん日高氏のは違うのではないでしょうか。彼の判断見識、どのように読者に受け止められていくでしょうか。

言ったこと書いたことは、後からでも検証される時代になりました。ダイヤモンド社の「クルーグマンの視座」、昨年後半に出版されたものですが、過去10年にわたる論文を掲載したものです。訳者は正しさがあきらかにされたものでしかもわかりやすいとし、それが出版を実現させた動機になっているようです。カムミンタラも、紙媒体のものから、ウェブマガジンとしてインターネット上の現在まで20年以上の継続してきました。その内容、はたしてどのように受け止められ評価されていくものとなるでしょうか。

以上 (UT) 090130





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2009年01月13日

おすすめします 佐々木譲「警官の紋章」

昨2008年12月に、角川春樹事務所より小説「警官の紋章」が刊行されました。佐々木譲(ささき・じょう)の北海道警察3部作のラストとなる作品です。

第1作「うたう警官」(なぜか後日「笑う警官」に改題)、第2作「警察庁から来た男」に続くものです。第1作で女性警察官殺しの犯人にでっちあげられかけ、以後組織内で冷や飯を食わされ続けている、津久井卓巡査部長が、そして彼を救うために活躍した佐伯宏一警部補たちが、また大活躍をします。

警察官が警察官を殺そうとする、それを食い止めるために行動する、理由も動機もある、そして舞台は洞爺湖サミットに備える北海道というあらすじです。

私には意外な結末となりました。関心を持った方は、ぜひお読みになってください。期待は裏切られない内容と思いましたが。

誇りを持った警察官が、誇りを持って仕事にうちこめる、そのような警察であってほしいとの、作者の思いと、私には思われました。現実はこのようなエールに応える警察組織になっているのでしょうか。フィクションと片付けるにはもったいない、問題提起の書です。

できれば第1作から読んだほうが、第3作の位置づけと筋がよりわかりやすいと思いました。前2作に登場している個性的な警察官たちが、また活躍しているのですから。

最後に、私には第1作が改題されて「笑う警官」というのが、いまだも納得いかない気持を持っています。本年映画化されて公開されるそうなのでそのときにでも、理解させてくれればというのが、1読者の勝手な考えでした。

以上 (UT) 090113

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2009年01月01日

あけましておめでとうございます

 あけましておめでとうございます。
ここ黒岳では、ここ数日風が強い日が続いています。今日も15m/Sの風があり、雪も30cm以上積もりました。今も深々と降っています。雪の年明けもいいものです。

2009年も四季折々の美しい大雪山・黒岳をお楽しみいただけるよう皆様のお越しを心よりお待ちしております。
本年も安全輸送最優先にスタッフ一同頑張りますので
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

皆様にとって幸せな一年になりますように。

               層雲峡事業所 佐々木
posted by kamuimintara at 08:09| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめします。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする