2008年04月08日

おすすめします ボブ・ドローギン「カーブボール」

米大手新聞社ロサンゼルス・タイムスの記者ボブ・ドローギン記者の綿密な調査取材による著作「カーブボール」が、田村源二氏の翻訳で出版されました。産経新聞出版、2008年4月刊行ですが、まことにタイムリーな出版です。イラク戦争が引き起こした事態はまだ続いています。どう日本人として向き合うべきかでも示唆を与えてくれるものとなっています。

不確実な情報がアメリカによるイラク戦争の大義の根拠とされていました。その情報源のこと、開戦前に大統領の演説や、国務長官の国連演説で使われていった経過、そしてガセネタであることが明らかにされていった経過と結果、ドローギン記者は濃密に語っています。

題となっている「カーブボール」は、情報源のイラク人につけた米側情報機関ののコードネームです。「カーブボール」は野球で使われている球種カーブのことです。また違った意味「ペテン、ごまかし」でも一般的に使われているそうです。本書を読むと、皮肉なことにまさにその意味ズバリの言葉がコードネームにされていたのです。

訳者は「訳者あとがき」で述べています。
「(米諜報機関CIAがおかした歴史的大失態は)国家間の外交だけでなく、社会のあらゆるレベルで、正確なインテリジェンス(情報召集・分析・評価・防諜・謀略)が必要となっているいま、本書から学びとれる教訓はきわめて必要だ。また、このとんでもない誤りを生んだものは冤罪を生む構造に符合する、と指摘するかたもおられる。なるほど、と膝を打たずにはいられない。要するに本書は、さまざまな誤謬につながる普遍的な構造をも示してくれているのだ。」(511ページ)

結局CIAは2004年5月26日に内部通達で「カーブボール」からの情報を取り消しました。さらにその2週間後、米議会の情報活動を監視する委員会にそれを伝えました。当時のCIA長官テネットは、みずから国務省のパウエル長官に電話し、この知らせを伝えたそうです。

「受話器をおいたとき、パウエルは頭から湯気がたつほど激怒していた。この件は『完全に砕け散ってしまった」とパウエルはのちに言う。」(477ページ)

品川正治さんの言葉「戦争を起こすのも人間、戦争を止めるのも人間」が思い起こされました。

以上 (UT) 080408



posted by kamuimintara at 10:36| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめします。
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