2006年07月09日

エーレン・ワタダ中尉

7月5日、現役将校エーレン・ワタダ中尉(29歳)を、アメリカ合衆国陸軍は軍法会議にかけるべく、訴追をしたとマスコミが報じました。電子版で見るかぎりですが、アメリカではかなりの大きな報道となっているようです。インターネットでの「エーレン・ワタダ中尉」での検索で、そうしたことの大半を知りました。ワタダ中尉は、辞職が認められなかった結果、自己責任と周囲の理解により、大きな踏み出しを行うことになりました。

日本の大手マスコミは、軍事力対比では問題にならない北朝鮮のミサイル発射問題、小泉首相のアメリカ訪問での「日米同盟」のぶちあげ、などは大々的なたれながしともいえるとりあげかたです。それにくらべて、ワタダ中尉のことについてのめだたなさは、驚くばかりです。

ワタダ中尉は、今年はじめ陸軍に辞職願いをだしましたが受理されず、イラク出兵を拒否する姿勢を明確にしてきました。6月7日に声明を公表し、6月22日に派遣命令を正式に拒否したそうです。

その結果、陸軍は次の3項目の統一軍事裁判法違反で訴追したそうです。
(1)部隊の移動に参加しなかったこと(統一軍事裁判法第87条)
(2)大統領に対する侮辱行為(同法第88条)
(3)将校にふさわしくない行為(同法133条)

「勇気」とは何かを、「判断力」とは何かを、考えさせられることになりました。ワタダ中尉の声明を読んでも、彼の意見行動が、どこが大統領に対する侮辱行為につながることなのか、どこが将校にふさわしくない行為につながることなのか、私にはわかりませんでした。気負いのないやさしさにあふれた自立した個人の発言としか受け止められなかったものですから。

インターネットサイトで、今井さんという方が、ワタダ中尉の声明を日本語訳にし、その転載を認めていますので、ここにも再録いたします。

ーーー

声明
エーレン・ワタダ中尉
2006年6月7日

家族、友人、信仰心篤い地域のみなさん、マスコミのみなさん、そして全てのアメリカ人同胞のみなさん。本日はおこしいただき、ありがとうございます。

私はエーレン・ワタダと申します。アメリカ合衆国陸軍中尉であり、3年間服務しています。

合衆国陸軍の将校として、重大な不正義に対して声を上げることは自分の義務であると考えます。私の道徳と法的義務は、憲法に対するものであり、無法な命令を下す者に対して負うものではありません。きょう私がみなさんの前に立つのは、兵士たち、アメリカの民衆、そして声を上げることもできない罪なきイラクの人々のために何かを行い、彼らを守ることは私の任務だと考えるからです。

米国軍隊の将校として、イラク戦争は道義的に過ちであるばかりでなく、合衆国の法をも手荒く侵害する行為であるという結論に達しました。私は抗議のために退役しようと試みましたが、にもかかわらずにこの明白に違法な戦争に加わることを強制されています。違法行為に参加するようにという命令は、間違いなくそれ自身が違法です。私は、名誉と品性を重んじる将校として、この命令を拒否しなくてはなりません。

イラク戦争は、抑制と均衡というわが国の民主的システムを侵害しています。この戦争は、憲法の規定によってアメリカの国内法と同等とされる国際条約や国際的慣習に違反しています。ほとんど満足な説明もなされていないイラク民衆への大量殺戮と残虐行為は、道徳的に重大な誤りであるにとどまらず、陸上戦に関する軍事法そのものの違反行為でもあります。この戦争に参加すれば、私自身が戦争犯罪の片棒を担ぐことにもなるでしょう。

平常であれば、軍隊にいる人間も、自分の思うことを話し、自分の利益になるよう行動することは許されます。そうした時代は終わってしまいました。私は上官に対して、われわれの行動の意味するところを大局に立って判断するよう求めました。しかし、まっとうな回答はえられそうにもありません。私は、将校に就任するとき、アメリカの法と民衆を守ることを宣誓しました。違法な戦争に参加せよとの違法な命令を拒むことにより、私はその宣誓に従います。
ありがとうございます。

ーーーー

以上(室長) 追記 長文となりましたことおわびします。













posted by kamuimintara at 09:18| 霧| Comment(6) | TrackBack(1) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
米国には「軍内部告発者保護法」という法律があり、兵士が議員と秘密の通信をする権利を保障している内容だそうです。

「今この法律にもとづいて、現役米兵が連邦議会議員に直接、イラクからの米軍の即時撤兵を訴える運動を始めました。」(2006年10月27日赤旗)

大西洋艦隊司令部のあるバージニア州ノーフォークに駐留する現役兵士らがよびかける形ではじまったようです。これまでに200人以上の現役将兵が議員への「訴え」に署名、さらに集め、2007年1月に議員に届ける予定だそうです。

米国民の意識、ますますイラク戦争がおかしかったことに気づいていっています。そしてこうした動きと発言、たいした国民です。

以上 (室長) 061027



Posted by 室長 at 2006年10月27日 07:40
11月7日投票の米中間選挙、ブッシュ大統領とそれを支えてきた共和党へは厳しい審判となりました。

イラク戦争に対する、この米国民の批判の声、
「違法な戦争に参加せよという違法な命令を拒む」というエーレン・ワタダ中尉の決意に通じるものがあるのではないでしょうか。また子を失ったシンディ・シーハンさんの気持ちにも。

以上 (室長) 061114
Posted by 室長 at 2006年11月14日 17:14
北海道新聞12月14日朝刊、ロスアンゼルスからの共同通信社の配信ということで、エーレン・ワタダ中尉と彼をめぐる日系社会の反応を報じていました。

若い世代は良心にもとづく拒否を貫く中尉に同情的だそうです。また、擁護、批判両派にはさまれた格好の、全米日系市民協会は、7月に「公正な処分」を軍に求める声明を出したそうです。

以上 (室長) 061215
Posted by 室長 at 2006年12月15日 11:16
エーレン・ワタダと表記してきましたが、最近アーレン・ワタダとの表記もあるようです。どちらが受け入れられやすい表現なのか。

大沼安史さんのホームページでは、アーレン・ワタダとしています。そこの12月20日の記事でワタダ中尉が最近、ハワイの教会で講演し、聴衆から暖かく迎えられたと報道されたことを知りました。



Posted by 室長 at 2006年12月29日 16:45
米軍現役兵士を対象とした世論調査で、ブッシュ米大統領のイラク政策について、昨年末不支持が初めて支持を上回ったと、2007年1月1日付けのしんぶん赤旗が報じました。

調査は、米兵向け週刊紙を発行するミリタリー・タイムズ社で、12月29日同社のウェブサイトに掲載されたそうです。

「支持しない」42%、「支持する」35%でした。2003年以来、「支持する」は50%を下回ることはなかったそうですから、大きな変化です。イラクで戦争をすべきだったかについては、「はい」41%、「いいえ」37%で差が縮まっているそうです。

米軍ではこれだけ兵士も意見をだせるということ、知ることとなりました。

昨年末、フォード元大統領が生前非公開としていたインタビューがワシントン・ポスト紙で報じられました。フォード氏は、イラク戦争開戦には反対でした。事態はますます撤退への道を進みそうです。

以上 (室長)070101
Posted by 室長 at 2007年01月01日 10:17
イラクでの米兵死者、2006年末でついに3千名突破しました。戦傷兵は2万数千名にのぼるといわれます。ウソで始められたイラク戦争、米国にとってもいっそう傷を深くしています。

ワタダ中尉の決断と行動、ますます正しいことに思われてなりません。

以上 (室長)070102 
Posted by 室長 at 2007年01月02日 10:59
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