題からすると何か勇ましい内容かと思っていました。そもそも井原さんに対するの私のイメージは、はるか北の地にいることもあり、マスコミ報道でしか知らない貧しいものでした。米軍艦載機の新たな岩国基地移駐に一貫して反対し、当時の日本政府などの圧力で、再選を期した2008年2月の市長選挙で敗れた人というものでした。
読んでびっくり、気負いとか激しさを感じさせない語り口でした。おだやかで淡々としているといったほうがよいでしょうか。語られる内容は重く厳しいものがあるのですが。井原さんが、岩国出身であり、労働省勤務を体験したのち、政治家として地方自治にとりくもうとしてことをはじめて知らされました。
自民党が政治支配をしていた時代のひとつの縮図、やり口がたいへん具体的に記述されていました。それだけでも意味がある内容です。
しかし、私が一番強く感じたことは、井原さんが、むしろ今しっかりと足元を見て着実な歩みを続けておられる、ということでした。そして井原勝介・寿加子夫妻が、ともに理解しあって、歩んでいることでした。
本の中で寿加子さんは「夫・井原勝介の背中ー妻からのメッセージ」の文章を寄せています。
「初心に戻り、『草の根ネットワーク岩国』という活動を(2009年)4月に始め、新しい本当の民主主義の芽をここ岩国で育てることを決意し、『草莽塾(そうもうじゅく)』という政治塾も始めました。
そして私は、収入のない井原が、夢に向かって歩んでいく日々にもう少し付き合うことになりそうです。」
以上 (UT) 100503