月刊誌に連載中に気づき、飛び飛びですが読んでいました。完結もすぐ知らず、掲載されていないので、終わったのかまた期間をおいての継続かと、2月3月勝手に思っていました。
それが完結していて、4月から単行本として出版されました。おかげで、各号で機会のあるかぎり読んだものを、まとめて読めることとなりました。そうしてみると、連載で読んだ印象以上の読みごたえとなりました。ストーリーが面白い、主人公などの登場人物がじつに個性的です。事実をもとにしたフィクションですが、掘り下げた取材の上に、作者の思いがあふれた渾身の力作になっています。残りの4巻を首を長くして待っている心境です。
「文藝春秋」6月号に、山アさんが「『運命の人』と私」と題して談話を寄せています。そして読売新聞5月13日朝刊文化欄で、「沖縄の痛み 書ききる責務」とのインタビュー記事がでました。両方を読んで、山アさんという人、思いをようやく少しわかる気持になりました。
今84歳の作家が10年かけての「運命の人」、国家権力がどのようなものか、取り上げたことについてはそれでよいのかという、痛烈な声を滲ませたものになっているかと受け止めました。
知るべきことを知らず、無関心でいることは、自分もとんでもないことに巻き込まれている可能性があることに、気づかせてくれました。私でいう「沖縄密約事件」にもっと注意をはらいたいと思いました。
今年の特記される出版のひとつになるのではないのでしょうか。面白さもばつぐん、多くの人に読まれてほしいものです。
以上 (UT) 090529