朝日新聞出版から2008年10月に「偽りのホワイトハウス 元ブッシュ大統領報道官の証言」が水野孝昭(朝日新聞論説委員)監訳で刊行されました。著者はスコット・マクレラン氏、1968年テキサス州生まれで2003年から2006年までブッシュ大統領のもとでホワイトハウス報道官を務めていました。2008年春に米国で出版されたもののすばやい翻訳です(原題は訳書とはちがっています)。
米国ブッシュ政権が行っていたイラク戦争に対する、第1級の証言であり、「告発」の書といえるでしょう。歴史に残る内容であることは間違いないようです。ボリュームのある著作だけに、中味をはしょって紹介することはしません。また波乱万丈の面白い読み物というものでもありません。しかし、読み通すとその重さがいやでも伝わってきました。
マクレラン氏が地方政治から国政へかかわることに、共和党の立場からなっていきます。息のあったチームの欠かせない有能な人材、しかもブッシュ氏とは友人としても軽くない存在でした。
その人がなぜ、このような暴露し批判するような証言の本をだしたのだろうとの大きな疑問につきあたります。それを理解するためには冒頭の「公職にある人たちに」「日本語版への序文」を、本文を読み終わった後、改めて再読するのが一番の近道のように思われます。
「おそらく、神が人間に与えた最も偉大な力とは、経験、とりわけ失敗から学び取り、善人へと成長していく力だろう。これは、自由意志が認められ、知識を享受できるからこそ発揮できる能力だといえる。ただし、真実ー想像でも願望でもない、ありのままの事実ーを理解していることが条件だ。」(7ページ)
マクレラン氏は、まさにそのことで試されたようです。ヴァレリー・ブレイム事件で偽装工作に巻き込まれたことからはじまった、自問自答それは厳しく壮絶なものでした。しかし本人は安易な道を選択することはできませんでした。
イラク戦争がまったくの間違った戦争だったことを雄弁に傍証する本書、多くの教唆を与えるものでした。今の日本にもこの本必要とされるものかもしれません。
以上 (UT) 081203
2008年12月03日
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