2008年06月27日

おすすめします 小林美佳「性犯罪被害にあうということ」

小林美佳さんという1975年生まれの女性が、「性犯罪被害にあうということ」(朝日新聞出版 2008年4月刊 定価 本体1200円+税)を出版しました。ご本人が2000年8月に性犯罪事件にまきこまれた体験をした人でした。事件とそれに関連するその後の体験を踏まえ、今犯罪被害者支援を考え行動しています。

性犯罪被害者として、2007年にあるシンポジウムで本人が氏名を明らかにして7年前のことを発言、そのことが出版にもつながったようです。私見ですがおそらく実名では日本でははじめて公に出版された手記ではないでしょうか。たまたま書店で手に取ったのがこの本、それまで何も知らなかった私には偶然かつ幸運な出会いとなりました。

私自身、個人的なことから現在札幌地裁で行われている女性自衛官の人権裁判に関心を持っています。そのことが、本を手にしたきっかけとなったことは間違いありません。それにしても重い体験とそれと向き合って生きていくことの、厳しさ難しさ、改めて思い知ることとなりました。事件には何ひとつ同じものはありませんが、どれも重いことなのです。

著者が、理解し乗り越えてきて、今まっすぐに向かい合っていること、それが率直な語り口のなかに示されていました。まだ過程であり途中のことかもしれませんが、その一歩の踏み出しの意味は大きなものがあると受け止めました。小林美佳さん、ありがとう、あなたの一歩が私にも新しい勇気を与えてくれました。そして投げかけられた課題を念頭にわすれずに置くことも。

ひとことで伝えられる内容ではありません。男女をとわず多くの人に読んでほしいものと思いました。部下を持つものも持たないものもとくに男性自衛官にはお勧めの本ではないかとふっと感じたのは、もしかしたら私の思い込みからくる間違った発想でしょうか。

小林さんは、冒頭の「このページを開いてくださった『あなた』へ」のなかで、以下のように述べています。私がその場ですぐ購入することとし、その日のうちに読みきった動機となったところです。

「あってはならないことだけど、もしも近くにいる人が犯罪に巻き込まれたときーー。『どうしよう』とうろたえたり、被害者の感情が『解らない』と投げ出したり、『元気出して』と表面的な励ましの言葉をかけたりするのではなく、”こんなことを言っていた被害者がいたなぁ”と、思い出してもらえたら。この手記が、ひとつの理解に繋がっていけたら嬉しいと思う。
『理解』
これが、私が願うたったひとつの、とても強力な被害者への支援である。
大切なのは、制度でも警察でも支援団体でもお金でも復讐でもない。近くにいる人の支えや理解なのだ。しかし、身近な人が犯罪や被害にあったとき、それを実行に移すのは容易ではないはずだ。相手を思えばこその気持が募れば募るほど、被害者本人の感情とすれ違ってしまうはずだから。『そんなわけないじゃない』『私には関係ない』と思わず、頭の片隅に留めておいてほしい。
私が最も遺憾に思うことは、『被害者って、こんなに苦しいんです!』と訴えること。この記録が、そうとらえられないことを願いながら、書き始めた。
同情を買いたくないことだけは、先に伝えておきたい。」

以上 (UT) 080627


posted by kamuimintara at 14:20| ☔| Comment(18) | TrackBack(0) | おすすめします。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
被害者の意見がみな同じではありません。

私は「制度・警察・支援団体・お金」全部必要だと思います。

周囲の理解者、必要です。一番理解してほしい家族や恋人が、無神経だったり、そのせいで別れてりまったり、そういう思いしている人もいるだろうし、逆に周囲に理解者がいたから、生きていられるという人もいるだろうし、作者のいうことわかります。

でも、制度や法律、警察の対応、裁判、それらが十分なもので、支援団体もあって、治療費・カウンセリング費用も無料、それだけ揃っていたら、大分被害者は(性暴力だけに限らず)助かるはずです。それら全て「国から、世間からの理解」ということになりますし。
「被害の苦しみにくわえ、国からも周囲からも見離され」というのが、何重にも苦しみを生みます。
逆に、周囲に理解者がいても、それが弱い立場の個人でしかなければ、何も解決しません。
お墓まで被害をもっていくことになってしまいます。

それから、加害者を生み出さない教育、というのも何より必要だと思います。
Posted by かおる at 2008年07月26日 08:21
私も16歳の時に性犯罪被害にあいました。それから10年以上経った今やっと家族に打ち明け、カウンセリングにも通いながら本来の自分を取り戻そうとしています。これからもっといろんな人達に私たち被害者の苦しみを理解してもらえればと願います。素晴らしいブログに出会えて嬉しいです。
Posted by 岩城みちる at 2008年09月20日 15:36
性犯罪にあいたくてあわないしたいがい部落か在日のばかでしょう!こんな問題起こすのは一生立ち直れなくなり何年も苦しみ犯人に同じ思いさせたないと被害者は浮かばれない中国みたいに皇帝に使えた男子にイタズラできないよう切除しないといけないGPSつける問題外ですよ
Posted by ポニョ at 2008年11月28日 05:19
私の元カノも昔性犯罪に合いました。

いつもその事件があった道の近くを通ると思い出すそうです。

そういう面でまだ日本はセキュリティー的にも法律的にも女性は弱い立ち場にあります。

小林さんの頑張りが未来の性犯罪撲滅に繋がります。

頑張って下さい。
Posted by キミタン at 2008年12月08日 23:53
ニュースで小林さんを知り、とても感銘受けました。以前、僕が付き合っていた彼女は、性犯罪にあった事のある人だったので、僕には、何ができるのかすごく悩んだ事を思いだしました。正直、性犯罪がない社会をつくるのは、当然かも知れませんが、性犯罪にあった女性に対しても、ケアしてくれる社会や僕のような一般の人間でもそういう方々のケアができればいいのにと思いメールさせて頂きました。
男性である僕には、なんの力にもなれないかもしれませんが、小林さんの応援しています。
頑張ってくださいね。
Posted by 岡部雅敏 at 2008年12月09日 00:11
私は性犯罪ではないけどやられそうになった事はあります。今、12歳でやられそうになった事は9〜10歳の時です。誰にも話せなくて辛く苦しかったです。誰かに言ったら、ケイベツされるんじゃないかって思いました。だけど、ようやく仲の良い友達AさんBさんに話したんです。「誰にも言わないでね。」と言ったのに、Aさんが1人の子に話したんです。ショックでした。信じてた人に裏切られて。だから、私は誰も信じられません。どん底に突き落とされた感じです。誰か私を闇から救ってくれませんか?かなり長くなってすみません。
Posted by あおい at 2008年12月09日 00:13
私はバイトでスナックに勤めている時に泥酔状態になり、身体障害者のフリをした男に準強姦を受けました。被害届を出した時の、警察の態度・言葉はスゴいものでした。そのまま、悔しさが増していき相手を一発殴って、被害届を出され…留置所で2ヶ月過ごし、懲役2年・執行猶予3年の刑を受けています。
私にも甘い所はあったと思います。でも、何故、私だけって思いはあります。
警察・検事・裁判官は、私の訴えは聞いてくれませんでした。母子家庭で三人の子供がいる私は、留置所から早く出たい・子供に会いたいという気持ちしかありませんでした。その為、警察の言うがままになり判決を受けています。
相手には、慰謝料も払いました。被害を受けて、お金を払って罰も受けて…本当に悔しいです。このまま泣き寝入りして良いのか?私が悪いのか?何が良いのか?わかりません。ただただ悔しさと怒りは、一生残ります。
Posted by のうそ ともこ at 2008年12月09日 00:14
小林さん、活動しましょ。私、悔しいです。
Posted by のうそ ともこ at 2008年12月16日 11:08
こんにちは、僕の名前は菅沼匠、現在37歳、今年の4月で38歳です。僕は幼い頃にとても辛い事を経験しました。それは小学3年生から6年生の間、自立更生施設(教護院)で生活していました。そこでの生活はとても厳しく、凄まじいものでした。特に今も傷を負っている事は、施設内の中学生に性的虐待、暴力虐待をほぼ毎日3年半の間受けていました。それからそこの施設の先生からも酷い体罰を受けてました。今でも虐待した人の名前も覚えています、そして夢にも出て来ます。いつまで経っても忘れられない出来事ですが僕は一生懸命生きています。自分なりの趣味や楽しみを見つけて。いつまで経っても寂しく孤独感に苛まれます。美佳さんの事をニュースZEROで見てここに書き込みました。きっと凄く辛かったと思います。誰かが側にいても空虚感、孤独感、不安はついて来ると思いますが、頑張って下さいね。それでは失礼します。see ya☆
Posted by 菅沼匠 at 2009年02月11日 23:41
何か力になれることはありませんか? つらい現実に向き合っている皆さんに、なにか癒してあげられることはないか、真剣に考えています。 私は男ですが、女性から性被害を受けたことがあります。恋愛もしたいのですが、なかなか一歩を踏み出せません。 できましたら、返信いただけたらありがたいです。
Posted by 直樹 at 2009年02月11日 23:52
悪は絶対に許してはいけない。黙っていては、其れは認めたと同じことに成ってしまうからです。何処までも正義を訴え、貫き通さねば悪は何処までも蔓延るんです。被害者本人にとっっては、心も体も其の痛みは計り知れないかも知れません。私の身近にも父親に犯された人が居ました。それはそれは悲惨な毎日でした。心に大きくトラウマとなって圧し掛かるんです。夢にまで幾度も出てきます。魘されて、夢遊病者の様に裸足で町をさ迷います。父親と言う言葉でさえ震え上がります。けれど其処で黙ってしまえば、口をつぐんで逃げてしまえば、、悲痛は、何時までも命から消え去りません。苦しみの連続です。勇気を出して己が命と戦うしか無いのです。勇気を振り絞って、一人に成らず。少しでも痛みの分る人と、手を携えて、犯罪は絶対に許さないとの気持ちで、戦って撲滅して行く以外に無いのです。其れはそらは辛いです。世間の冷ややかな目もあります。人の不幸をあざ笑うような風潮も確かに有ります。警察や司法も被害者の立場では見ません。此れはいじめも差別も詐欺も、そしてあらゆる暴力も同じです。一つでも一回でも黙認してしまえば、益々増長して勢いを増し、さらに悪質化していきます。

これ程人の命が軽薄かした時代は有りません。此れを黙ってほって置けば、泣き寝入りすれば、憎しみの怨念と、悪の憎恩が膨張し、地球上を積み込んで、太陽の光が一切届かない、暗雲立ち込める。まるで地獄の様な世界に一変します。如何なる理由を持ってしても、人の心も体も傷付ける事は許されないのです。戦ってください。自分自身の未来の幸福を願って、此れ以上被害者が増えないこと願って、
Posted by いつも前向きながしま at 2009年02月12日 00:01
私も、4年程前に仕事帰り、知らない男の人が後ろから抱きついてきて、叫んだら口を押さえられ、静かにしないと殺すと言われ、性犯罪に遭いました。それからは、トラウマに悩まされました。普段通りの生活はできるのに、何かの拍子に事件を思い出すと、過呼吸になり震えが止まらなくなり、夜も寝れなくて、犯人が家に来る夢を見たり、そんな自分が情けなくて毎日泣いてました。いっそのこと、記憶喪失になってもいいから忘れたいとも思いました。今でも思い出すと辛いし、いつ過呼吸になったりするか分かりません。でも、事件によって自分の人生を狂わされることのないように、強い人間になりたいです。そして、犯人を捕まえてほしいです。
Posted by りんご at 2009年02月13日 12:31
あたしは義父に性的虐待を受けていました。それが何歳だったかはっきりしたことが思い出せません。自分の中でなかったことにしようと曖昧にしてきました。今30歳です、20年近く経ったと思います。今まで小説、テレビなどでそういうことに出会っても現実でないため何も感じませんでした、しかし小林さんのドキュメントを観て曖昧にしてきたことにリアルが増して心の鍵を開けられた感じがしました(悪い意味ではなく)義父もそう長くない命です。死んでも何が変わる訳ではないかもしれませんがその前に、今向き合うべきなのかなと思いました。
Posted by 青と白で水色 at 2009年02月13日 17:13
今日のニュースを見て小林美桂さんの辛さを聞いて胸がつらくなりました。一番心と躰にきずくのは女性の方です。私の同級生の女性が、小林美桂さんみたいに無理やりにやられて今でも夜になると怖くなり一人で会社から自宅に帰ることが出来ない状態になっています。その女性の友人が私に相談などして私が知らない男性にやられた女性を守っています。彼女が仕事が終わったら彼女が働いている会社の入口に向かいに行って一緒に帰っています。あさも一緒に行っています。それだけに彼女は心と躰にひどく怖がっています。玄関のドアの鍵も3個、防犯カメラなどを付けています。彼女を見ていてとてもかわいそうにもう二度あの惨い事件を起こさないように私がこれから守ってあげたいです。
もし私が小林美桂さんの近くにいたら彼女と同じように小林美桂さんのことを守ってあげたと思っています。
Posted by こういち at 2009年05月23日 07:52
貴方は本当に優しい人だと思います。
だからこそ気づいて欲しい.誰が被害者になってもおかしくないことに!!
Posted by ママ at 2009年07月20日 17:35
被害者の気持ちを理解してない、明日は我が身で、弱者にたいして、見て見ぬふり、集団暴行にあって見て知らないふりをしますか?私は15歳で青年を武器で殴る時助けました、なのに今は、私は僕は、巻き込まれたくないで、助けようとしない、だからこんな犯罪が起きるんです。集団の青年に女性が勝てますか?勝てるわけないのに、ケガをおったにもかかわらず、犯人が捕まらない、逃げる悪人もいます、アメリカのように、銃があれば、倒せますしかし日本はありません、可哀想な、被害者を増やさないためにも、見たらサポートしてください、怯えないで、犯人に時効はありません、ここまでした深い傷は、一生取り戻せないかもしれません、皆なりたくてなった被害者でない明日は我が身です。
Posted by ピーター at 2009年08月28日 09:30
小林美佳さんの性犯罪被害にあうということの、本を読みました。私は、社会に出ていじめにあい自殺などを考えたりした事や理解をしてくれない両親や友人に対して自分の事を理解して欲しくて強く当たったりした事も共感しましたが、女性の方はもっと辛く悲しいと思います。ですから昨日09年9月3日の性犯罪の女性2人に対する裁判は、裁判員より外して欲しかったです。辛く苦しい女性の気持ちを理解していないと思いました。暴力団体同士の殺人事件も対象外にしたのだから性犯罪も外して欲しかったです。民主党政権になる法務大臣には、裁判員裁判制度の1部改正と死刑制度の継続は、残して欲しいです。小林美佳さんは、昨日の性犯罪の裁判員裁判をどう思いましたか。是非感想が知りたい事とコメントをしている人達にもどう思いました知りたいです。
Posted by 田中雅男 at 2009年09月04日 08:11
私は一ヶ月前強姦被害に遭いました。18歳で今までも親からの虐待でずっと苦しんできた。小林美佳さんの本を検事さんや知り合いから紹介され最初は「そこまで傷ついてないから本なんか出せる」ってわかってないと思いました。でも本を開いて一ページ目から涙が止まらなくなった。小林美佳さんはすごいと思いました。私は小林さんと連絡を取りたいです。自己嫌悪に陥りこのブログを見つけてコメントしてみました。小林さんがみてくれますように…
Posted by 未来 at 2011年10月29日 06:38
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