読んでみましたら、奇想天外な発想と筋でした。主人公は2008年から2009年の時期に政権党民政党の党首で総理大臣となった武藤泰山。2009年の来るべき総選挙を迎えていかに戦うかが課題で、苦労をします。ところが国会演説で、原稿の誤読を連発、漢字が読めない政治家とされてしまいました。じつは彼はそれくらいは読めたのだというのが、内容のひとつなのです。
どうしてそうなったのかを説明すると、読む楽しみを減らしますのでここではふれません。ありえない設定でその誤解が生じたのでした。
武藤泰山は最後には政治家としての初心を思い出します。しめくくりは、以下のとおりです。
「ひとりの政治家として、今再びー俺は民意を問う。」
作者池井戸さん、暖かくやさしい視点で、この小説を書き上げたようです。登場人物のような人たちがいれば、日本もまんざらすてたものではない、という思いになりました。
正面からではなく、ひねりにひねったストーリー展開です。7月11日は参議院選挙投票日となっています。小説を読むことは、その有権者になにがしかの影響もあたえるかもしれません。政治は大事なものだということで。
以上 (UT) 100626